装置構成
溶射電源
溶射電源は、最新のインバーター技術を駆使して開発された、アーク溶射専用電源装置です。特にアーク溶融作業の大幅な性能向上を目的に開発されたもので、従来の同用途の電源と比較して、溶融量、サイズ、溶射騒音、消費電力等が大幅に改良されています。
また、専用の溶射用アークガンは、従来品に多く見られた溶射時のワイヤー・トラブルが解消され、連続して高速溶射が可能となりました。特に、鉄の防食に使われるアルミ、亜鉛、そして、それらの合金溶射の施工速度はこのクラスでは世界最速です。
例えば、海洋及び海岸に近い環境での世界標準、アルミ溶射、平均溶射膜厚300ミクロンで、毎時9㎡の高速溶射が可能です。工業地帯や酸性雨に晒される環境で、優れた防食効果があります。アルミ50%/ 亜鉛50% 擬合金、平均膜厚100ミクロンで、毎時27㎡の高速溶射が可能です。アルミ、亜鉛、銅、ニッケル、それらの合金等の金属ワイヤー全てが本装置により溶射が可能です。
本装置は、「減圧内アーク溶融方式」を採用しているため、溶射皮膜形成時の温度を低く抑えることができるので、従来不可能と思われていた、プラスティック、紙、布、木材はもとより、コンクリート、鋼材等の幅広い素材に自在に金属皮膜が形成できます。コンパクトで軽量な本装置は、工場、現場を問わずハンドリングが容易で、溶射騒音が低く、ヒュームが少ない理想的作業環境で溶射作業ができます。
溶射の熱源には直流アークやガス燃焼、プラズマ等複数あります。高速アーク溶射工法では、2本の線状金属の間に直流アークを発生させ、この熱で金属を溶かし対象物表面に吹き付ける技術です。均一効果が求められる大面積の防錆皮膜の施工にはアーク溶射が最適なのです。
錆の形成は鉄と水分子との接触によります。被対象物(鉄)に適正な厚みの金属溶射を施工した場合、水分子のみならず水素分子も通さない皮膜が形成され長期間の防錆効果が維持されます。
重防食塗装を含む従来の塗装による防錆では経年劣化が進み長期的になれば皮膜が水分子を通すため錆が発生します。これを防ぐためには数年から数十年ごとの塗り替えが必要となります。塩害や大気汚染など厳しい環境条件に耐える高い耐候性が求められる鋼構造物への防食塗装では、長期的防錆効果を維持する金属溶射に優位性があります。
当社が開発した金属溶射機による「高速アーク溶射工法」は、下地処理した表面を金属溶射により均一な防錆皮膜を形成できる優れた防食技術です。